耳鳴りは耳のトラブルの中でも多い症状のひとつです。病院で検査をしても耳に異常がなく、様々な治療をしても、一向に良くならない場合もあります。

 

耳鳴りの原因は多々あり、現時点では全ての耳鳴りに有効な治療法は確立していないといわれています。人によって感じ方が異なることもあり、西洋医学では完治が難しく慢性化しやすい症状です。

 

鍼灸では耳鳴りの改善は時間がかかることもありますが、体のバランスの崩れを整えていくことでよい方向へ向かいます。

 

加齢に伴う【腎虚】の耳鳴り

耳と五臓の『腎』には密接な関係があります。

東洋医学でいう腎は生命活動の源である腎精の貯蔵庫です。西洋医学の腎臓の働き以外にも内分泌・泌尿生殖器系と、脳の働きをも含めた幅広い生理機能を意味しています。東洋医学では腎が弱く腎精不足した状態を腎虚といい、様々な老化現象が現れます。その代表的な症状の一つに耳鳴りがあります。特に高齢で、難聴など聴力が減退してきた方に多いタイプの耳鳴りですが、若い人の耳鳴りの原因となることもあります。

腎虚の耳鳴りにはセミの鳴き声のようなジーという音や、夜間静かになると気になるなどの特徴があります。

鍼灸の腎経ツボで不足してる腎精を補うことで耳鳴り・難聴の症状を改善できます。

ストレスによる【肝火上擾】の耳鳴り

『肝』は怒り、憂鬱な気持ちなど感情的な刺激によって傷つきやすく自律神経の乱れと関係が深い臓です。そして、耳の周囲には胆の経絡が集まっているため、ストレスなどで肝胆が乱れると耳へ影響も現れやすくなります。ストレスが原因の耳鳴りはキーンと高く強い音のことが多く、症状に波があるも特徴です。

鍼灸では、陽陵泉、大衝などのツボで肝火を抑えるものや肝胆気を巡らせるもので耳鳴りを改善していきます。

血が滞りやすい【瘀血】の耳鳴り

全身の血の巡りがよくないことを『瘀血』といいます。耳のある頭部にしっかりと血が届かず耳周囲の気血の流れがよくない状態では耳鳴りが起こりやすい状態です。

鍼灸では、耳とかかわりが深い三焦経や胆経などの経絡の中に気血の流れをそろえるもので、耳鳴り難聴を改善していきます。